魔王・11話最終回「安らぎの地へ・・・」
事情聴取されていた典良(劇団ひとりさん)が自殺した。
直人(生田斗真さん)から連絡を受け駆けつけてきた栄作(石坂浩二さん)は典良の手をとり泣き崩れる。
「・・・直人・・・。
私を許してくれ。
この世のすべての人を幸せにできるなどと偽善者の思いあがりだと思っていた。
誰かの幸せの陰には必ず誰かの不幸がある。
それがこの世の道理だと・・・息子達の幸せをまもる道だと信じていた・・・。
・・・この年になって情けない・・・。
私の間違いが典良を死に追いやってしまった・・・。
・・・どんなことがあっても・・・お前達、二人、私の息子だからな・・・」
直人は父をおいて部屋を出ると、倒れるように座り込んでしまう。
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一方、成瀬(大野智さん)は保釈金を払い、葛西(田中圭さん)を帰宅させる。
それを知った山野(清水優さん)は成瀬を激しく責める。
自分をいじめていた者への復讐を遂げるために成瀬に協力してきたのだ。
次第に弱腰になってきた成瀬を彼は許すことができず、口論の末、刺してしまう。
そして、その足で葛西を探し出し、背後から襲い掛かる。
葛西は、典良と別れ自分とやり直したいと言ってくれた麻里のもとに帰る途中だった。
葛西の絶命とともに、山野も警官の手によって射殺される・・・。
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典良の死に衝撃を受けた栄作は自宅に戻った後、持病の心臓の発作を起こし、そのまま帰らぬ人となってしまう。
連絡がとれないことを心配した直人は、実家を訪れ、倒れている父を発見する。
ほんの数時間のうちに兄と父を次々と失った直人は、警察から拳銃を持ち出し成瀬と直接対決をしようと彼を呼び出す。
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山野に刺された傷を隠すようにして、直人のもとへとやってきた成瀬。
成瀬の姿を見た途端、拳銃を構える直人。
だが、直人は最後の一線を越えることがどうしてもできなかった・・・。
「あなたはまだわからないんですか?
僕の人生に失うものなんてとうになかったんだ。英雄と母が死んでから。
これで全部終わる。ようやく僕が僕にかえる時がくるんだ。
さあ、撃ってください。
これは真実から逃げたあなたの義務なんです。終わらせるんです。
僕を撃て!
それがあなたの役目だ。僕を殺せ!!」
成瀬は自分を撃ち殺させることで直人に罪を背負わせようとしていた。
それが、彼の最後の復讐。
だが、直人は父や兄、仲間を殺された憎しみに溺れ我を失うことはなかった。
「できない・・・。あなたをそこまで苦しめたのは・・・俺だ。
俺にはあなたを殺せない・・・」
成瀬は計画が破綻したことにうろたえる。
「終わらせるんだ。
このまま生きていたんでは・・・僕は・・・自分を許せない・・・。
終わらせるんだ!僕を殺してくれ!!」
もみあう二人の間で銃声が響く。
地面に崩れ落ちたのは、直人だった・・・。
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とめどなく血がふきだす直人の腹部をおさえながら、あわてて携帯を取り出す成瀬。
直人はそれを止め、
「これでよかったんだ。最初からこうしていれば・・・。
生きてください。精一杯。自分のために。
許してください。俺のことも。あなた自身も・・・」
そういうと、直人の意識が遠のいていく・・・。
成瀬は必死で直人を抱き寄せると、「死ぬな!」と何度も絶叫する。
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だが・・・、そんな成瀬にも最期の時が訪れようとしていた。
直人の隣に身を寄せ、成瀬はつぶやく・・・。
「・・・許してくれ。僕のことも。あなたのことも・・・」
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成瀬の感謝の気持ちをしたためた手紙を読んだしおり(小林涼子さん)が、その場に駆けつけた時には二人は並ぶようにして亡くなっていた。
彼女はただ泣くことしかできなかった・・・。
直人の手には成瀬が握らせたのだろう・・・英雄のハーモニカがあった。
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事件の後、警察を辞めた中西(三宅裕司さん)は海のある町で穏やかに暮らしていた。
しおりは彼に招かれて、そこを訪れた。
海を眺めるしおりの視界に2匹の蝶が飛びこんできた。
楽しそうに舞い踊るそれを、彼女は成瀬と直人のようだと思った。
長く続く激しい怒りの日々、長く続く深い後悔の日々、そこから解放され二人の魂はきっと安らぎを得たのだろう・・・。
時を経て、しおりはそう思えるようになったのだった。
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中西の家の仏壇には、英雄のハーモニカが置かれてあった。
しおりがふいにそれに触れると・・・、突如、体中に電撃が走るのだった・・・。
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良かったです。。。とても。
3ヶ月間、かなり凝縮したいいドラマを見させてもらいました。
映画としてもつくってほしいくらい。
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ただ、最終回はもうちょっと時間が欲しかったな。
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あまりにバタバタと、11年前の事件の関係者がしおりを除いて、すべて亡くなってしまったのには驚きました。
特に直人は死ぬと思ってなかったので、ちょっと呆然。
成瀬も直人もお互いを許して、憎しみを浄化して逝ったので、悲惨さはないといえばないのですが、どうも置き去りにされた寂しさが募ってます。。。
ほんと、時間がたつ毎に寂しくなります。。。
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それと、最後の最後にしおりがハーモニカに触れて何かを見るシーン。
もしかして、まだなにか隠された黒幕かなんかの存在をほのめかしてるの???と気になって仕方なかったんですが。
よく考えてみると、しおりは11年前の直人と英雄の事件の真相は知らないんですよね。
英雄のハーモニカなら、そこのところの真相を知ることができるし、その後の成瀬のすべてをも知ることができるんですね。
成瀬を愛していたしおりにとって、一番大事なものかもしれません。
あのハーモニカはしおりが持って帰ったと思っておきます。
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それと、成瀬と直人が対峙するシーン。
すごかったですね。
成瀬の心情の変化がよくわかりました。
「僕は自分を許せない」ってセリフ、成瀬の本音が迫ってきて悲しかったです。。。
直人を撃ってしまって、あわてて携帯で助けを呼ぼうとする成瀬の真の優しさと、それを止める直人の思いが、もう切なくて、切なくて・・・。
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生田斗真さんは、「イケパラ」を見ていたので演技も上手だし、直人役と知ってうれしかったんですが、成瀬役の大野智さんはまったく初めて知った俳優さんでした。
1話の感想でも幼く見える~・・・なんて書いてしまってますが、2話あたりではすでに成瀬ばかり目で追ってる始末。(笑)
成瀬役は、はまり役でしたね。。。
表情の変化が見事で、毎回、魅入ってしまいました。
それにこれほど滂沱の涙を流す俳優さんって珍しい!!
もっともっとドラマに出てほしいです。
できたら、シリアスもので。
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しおりとの恋も儚くて切なくて。
しおりが事務所に訪ねてきて、成瀬が動揺する回とか、めちゃめちゃ良かった。
二人の距離が接近していく細かな段階にドキドキ。
素敵な恋だな~と何度思ったことか。
こんな切なさもっと見たいです。
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あと、今回は栄作にも泣かされました。
巨大な力で息子達を守ってきたのに、それが間違っていたことを息子の死をもって気付かされるなんて・・・。
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また、圧倒的な存在の父を前に、萎縮する典良と直人も印象に残ってます。
生田斗真さんも劇団ひとりさんも、声を上ずらせ表情を強張らせての演技、すごかったです。
栄作に対してじゃなく、栄作役の石坂浩二さんに対してビビッてるんじゃないかと思ったことがしばしば。(笑)
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今後しばらくは、1話からじっくり見直す毎日が続きそうです。
ほんとよくできたドラマでした。
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こういう結末でしたので、再び成瀬と直人に会うことはできませんが、それでも番外編とかスペシャルとかできたらいいなと期待しちゃいます。
もう一度、会いたいです!
成瀬と直人に。
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