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2013年9月19日 (木)

ぴんとこな・第9話 あやめの父、恭之助の覚悟

恭之助(玉森裕太)は雨漏りでアパートで暮らせなくなったあやめ(川島海荷)を家に連れて帰ります。

世左衛門(岸谷五朗)の部屋に行って、あやめをこの家に住まわせてくれと頼み込む恭之助。

「頼む。目の前で困ってる人を助けるのは人として当然だろ!

このまま、あいつを見捨てるなんて、男じゃねえ!人間じゃねえ!」

恭之助の気迫に負けて、世左衛門は折れてしまいます。

「次の家がみつかるまでだぞ・・・」

「ありがと!!!」

パア~っと笑顔を見せ、話の途中であやめのいるリビングに走り出していく恭之助。

「こら、こら、おい…まだ話が・・・」

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世左衛門からOKが出たと聞くと、あやめもシズ(江波杏子)も大喜び。

あやめはリビングに入ってきた世左衛門にうれしそうにお礼を言います。

「ありがとうございます。お世話になります」

大ファンの世左衛門を前にして満面の笑みのあやめ。

「・・・はい」

世左衛門は照れているようで、目が思いっきり泳いでます。

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以前、あやめに踊りを見せてほしいとせがまれ、「わかりました」とあっさり了解してましたけど、世左衛門もあやめに弱いんですよね。

恭之助共々、親子ですね~。(笑)

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あやめは河村家へ引っ越してきます。

恭之助に部屋に案内されて、感激するあやめ。

「あこがれの木嶋屋で暮らせるなんて夢みたい!」

「俺も夢みたい!」

あやめに背をむけ、ニンマリとほくそ笑む恭之助。

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ふたりの様子を見ている世左衛門とシズは。。。

「あのバカ息子が。。。また稽古に集中できなくなるんじゃ。。。」

「大丈夫でしょう~。坊ちゃんも成長されましたし~」

「シズさん、あいつが不埒なことをしないよう・・・」

「心得ております~!」

胸を叩いて、任せてくださいと頷くシズです。

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ここからがおもしろい!

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引っ越しの荷物の中から下着をみつけ、うおおおおおお~と叫ぶ恭之助。

それを見たあやめは飛び上がって慌てて下着を隠しますが・・・。

なぜか唇を突き出してキスしようとする恭之助を、「坊ちゃん!」とシズが止めに入ったり・・・。

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あやめの入浴中のお風呂場に、そろり、そろりと近づく恭之助に、「坊ちゃん!」と上から金ダライを落としたり・・・。

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これは!!ドリフの懐かしいコント!でも痛そう~。。。ウギッって顔をしてます、恭之助。

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朝、ふたり並んで歯磨きしながら、あやめの髪の匂いを嗅ごうとしてる恭之助に、「坊ちゃん!」とお線香の煙で妨害したり・・・。

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廊下で寝そべって、あやめの寝室の襖をソ~っと開けて覗こうとしてる恭之助を、「坊ちゃん!」と自分の顔を懐中電灯で下からあてて、怖い顔して驚かしたり・・・。

これには、あやめが寝てるにも関わらず、絶叫する恭之助です・・・。

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シズが恭之助の企みをことごとく阻止。頼もしい~。(笑)

名門の御曹司なのに、その片鱗がかけらも見られない。

家の中で遊びすぎの恭之助です。(笑)

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そんな出来事をあやめは親友の千晶には、おもしろおかしく話してるみたいで。。。

「同居、超楽しそうでいいじゃん。結婚しちゃえば?」

なんてからかわれています。

あやめも困った顔をしつつも楽しそう。

「千晶は飛躍しすぎだって!」

「ヒロ君のことはもうふっきれたんでしょ?」

「そういう問題じゃなくて、

そもそも河村君は歌舞伎界の名門木嶋屋の御曹司なんだよ。

私なんかと釣り合わないよ」

「いまどきそんなのあるの?」

「あるの!」

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恋する以前に御曹司なんだからダメなんだっていう自制が働いてるのかな。

前回の美月の言葉が効いているのか、歌舞伎に詳しいあやめだから当然知っているのか。

恭之助を好きになっても、うまくいかなそうなことを残念に思ってる感じかな。

ただ、少しずつ、一弥の存在は小さくなってきてるみたい。

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そうやって、あやめとの同居生活を楽しんでいる恭之助に、世左衛門は次の公演の話をします。

「次の木嶋屋主催の公演では、おまえに春興鏡獅子をやってもらう。

今度、前の舞台のような無様なものを見せたら、今後二度とまともな役はつかないと思え!」

恭之助はムッとして、

「もうあの時の俺とは違うんだ。

ひとことも文句が言えないような鏡獅子、見せてやるよ!」とにらみ合い。

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この「あの時」とは、1話のことですね。

どうしてこう。この親子は普通に話ができないのかしら~。

恭之助も頼む時と態度が違いすぎる。これが恭之助の甘え方なんでしょうけど。

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稽古場では。

一弥(中山優馬)にあやめと同居してることを伝える恭之助。

「朝、洗面所にあやめがいてさ~。もうかわいくて~」

一弥は驚いて取り乱しますが、

「あやめちゃんのためには良かったです。

あのアパートにいるよりは」と自分を納得させています。

それを聞きつけた完二郎(山本耕史)が、「おまえ、生意気な!うらやましいだろ!」と恭之助の首を絞めてからかいます。

「すみません~、でも、しあわせすぎちゃって~」

ヘラヘラ締りなく笑っている恭之助を見ながら、一弥は、

「これで僕も迷いもなく、澤山家の人間になれる」とつぶやきます。

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一弥は数日後、優奈(吉倉あおい)と結納を交わすことになっていました。

もう少し先だったのが、あやめに嫉妬した優奈が時期をはやめてしまったそう。

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結納の日取りを決めた澤山咲五郎(榎木孝明)は一弥にこう言います。

「私も人を見る目はもっているつもりだ。

おまえが娘に愛情をもちあわせていないこともわかっている。

だが、この結婚は、もはやこの家にとっても、おまえにとってもなくてはならないものだ。

そうだろ?

あいつは傷つくようなことだけはないように頼むぞ」

「・・・はい」

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咲五郎が自分の気持ちを見抜いていたことに内心驚いていたような一弥。

それをわかった上で後継ぎになれと。

この娘と父は似てますね。

まあ、咲五郎にとっては、娘が一弥にぞっこんなので、文句はないんでしょうけど。

おまえの気持ちは殺して澤山家に入れと言われていることを、一弥は望むところだと受け入れているようです。

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一弥は優奈にダイヤモンドの指輪をプレゼントします。

安物で小さな石のものしかあげられないけれど、という一弥に、優奈は指輪をもらったとすごく喜びます。

「これからはもうお嬢さんと呼ぶのはやめて」なんて言って。

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嫉妬で酷い嫌がらせしてたなんてとても見えない。かわいい優奈です。

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あやめのバイトが終わるまで待って、一緒に帰ってくる恭之助。

「こういうのちょっとよくね?待ち合わせして同じ家に帰るって」

「わざわざバイト終わるまで待っていなくていいから、お稽古して~」とあやめ。

「大丈夫。今度は最高の舞台を見せてやるから」

「うん。すっごく楽しみ!」

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ふたり仲良しで、あやめの「お稽古して~」っていう声がとっても優しい。

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ふたりが河村家までやってきたところで、あやめは家の前に立っている男性を見て固まってしまいます。

「父さん?」

「あやめ、元気そうだな」

2年前に借金をして失踪中の父親の啓介(佐野史郎)でした。

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久しぶりに父との再会でもあやめに笑顔は見られません。

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啓介は河村家のリビングで世左衛門に挨拶をしています。

「先日、娘が住んでおりましたアパートにいったところ、もう引っ越したと大家さんがいうもので、驚いてしまいまして」

啓介はとなりに座るあやめに声をかけます。

「なかなか迎えに来れず、ごめんな」

「う、うん」

複雑な表情のあやめです。

向かいのソファーに座る世左衛門の横で、床にあぐらをかいている恭之助は、不服そうに口を挟みます。

「借金を残したまま、高校生の娘をおいて逃げるとか、ありえないと思いますけど」

「恭之助!」世左衛門は恭之助をたしなめます。

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啓介は平身低頭。。。

「お恥ずかしい限りです。依然小さい会社をやっていたんですが、潰してしまいましてね。

かなり追い詰められてしまいまして。

でも、ようやく新しい会社を立ち上げる見通しがつきまして」

それまでの父親の行状を知っているためか、暗く伏し目がちだったあやめは顔をあげて「そうなの?」とほんの少し安堵したような表情に。

恭之助はますます不満顔。

「それは良かった」と世左衛門。

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「それで、大変厚かましいお願いなんですが、娘をもう少しの間、こちらに置いてやっていただけないでしょうか?

一緒に暮らす環境が整いましたら、なるべく早く迎えに参りますので」

世左衛門は、啓介の目がかすかに動揺するのを見抜きます。

「わかりました」

世左衛門から了解を得た啓介はホッとして喜びます。

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そして、今後のことを話したいからと、あやめを外へと連れ出します。

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このシーン、ソファーに啓介とあやめが座り、もうひとつのソファーに世左衛門が座り、その横の床に恭之介があぐらをかいて座ってるんです。

どうして床に座ってるんだろう?と不思議に思いつつ、まあ、あまりスペースがないせいもあるんですけど、恭之助が大人どおしの話のおまけのように見えて、なんだかかわいいんです。

その恭之助はずっと不満そうに啓介を見ていて。これまたかわいい。

かなり好きなシーンです。

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ふたりが去った河村家のリビングでは。。。

「なんか気にいらねえな。

あやめに散々苦労かけたくせに、シレっとした顔してさ~」と恭之助。

「それでも父親が現れたんだ。良かったじゃないか」となだめる世左衛門。

やっぱり口をとがらせて不服そうな恭之助です。

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そして、世左衛門も言葉とは裏腹に、啓介の反応を気にしている様子・・・。

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啓介はあやめとふたりになると、さっそく自分の要件を持ち出します。

「あのな、あやめ。

新聞社の知り合いが協力してくれて会社をたちあげることになったんだ。

ただ、そのためには、まとまったお金が必要なんだ。

それで、河村恭之介君とあやめが同居してるスクープ写真をその知り合いが欲しがってるんだ。

その写真を撮らせれば、金になる。

それで、家のまわりで、いちゃついてもらえないか?」

あやめは驚いて即座に断ります。

「そんなことできないよ!

河村君に迷惑かけるようなこと!」

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「お父さんの人生がかかってるんだよ!

これで失敗したらお父さん、もう終わりだ。

あやめともう二度と会うことはできないだろう」

啓介に必死の訴えにもひるまないあやめ。

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「でも、無理だよ。わたしにはできない」

「そうか・・・。じゃあもういい。

あやめはいままでどおり御曹司と仲良くやってくれ」

とぼとぼと帰っていく啓介を不安げに見ているあやめです。。。

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あやめは徹底して協力しないですね。

父親の泣き落としにも、迷うことなくきっぱり断ってる。

まったく迷いもしないなんて、たいしたもんです。

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あやめと別れた啓介は東西スポーツ新聞の編集部にやってきます。

そこには、あやめに言っていた新聞社の知り合い、編集長の大川がいます。

啓介はあやめが話に乗らなかったことを報告して、しきりと謝っています。

「すまない・・・」

「大丈夫ですよ。すぐに何人か張り付かせて、ガッチリ特ダネを撮らせてもらいますから~。

先輩には大学時代からいろいろ世話になってるし。こうやって編集長なんかやってられるのも先輩のおかげですから~」

「頼むよ。俺にはもう後がないんだ」

「わかってますって。任せてください」

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翌朝、河村家の周辺で、カメラを持った不審な人物を目撃したシズは、気味が悪いとみんなの食事中に訴えます。

「何を探ってるんでしょうね~」

「別に探られて困ることもねえし~」と気にしていない恭之助とは反対に、あやめはすぐにそれが父親の差し金だと気づきます。

「ごめん、河村君。

私ちょっと忘れ物とってくるから、先に学校へ行ってて。いいから、先行ってて!」

一緒に登校する姿を撮られてはいけないと、恭之助を先に行かせるあやめです。

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そして、あやめは啓介のアパートを訪ねます。

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さすがに世左衛門はそんなあやめの様子に気付いています。

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啓介のアパートは、あやめの住んでいたところと広さは変わらないものの、遥かに新しくきれいでした。

けれど、流しには汚れた鍋や皿がたまり、布団は敷きっぱなし。ほかに家財用具はありません。

啓介はバツが悪そうにあやめを招き入れます。

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「父さん、お願いだから、変な写真狙うのはもうやめて!」

「金がないと仕事が始められないんだよ!」

「だからって、あの家には迷惑かけるわけにはいかないの!」

「じゃあ、あやめは金の工面をしてくれるのか?」

「・・・私に出来ることならなんでもするよ。

とにかく今すぐやめてくれないと私、あの家出るから!!

父さん、来てくれてうれしかったのに。ガッカリだよ・・・」

あやめの言葉も啓介には届かないみたいです。。。

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娘を放置して別にマンションを借りてるって、それからしてどういうことなんでしょうね・・・。

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学校では、恭之助が春彦(ジェシー)にあやめの父親のことを話しています。

「一弥が片付いたと思ったら、今度は父親の登場か・・・」と春彦。

「なんかむかつくんだよな。あの親父~」

「千葉とのラブラブ生活、終わっちゃうもんな~」

親友はビシッと本音をついてきます。

「・・・つうかさ、あの親父。

ほんとにあやめのこと、大事に思ってんのかな?」

「そりゃあ、家族だし。だから迎えにきてんじゃないの?」

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あやめが学校から帰ってくると、河村家の前で待っている啓介。

今度は大川を連れています。

大川はあやめを見た途端、大喜びします。

「驚いたなあ~。娘さん、超かわいいじゃないですか!!!」

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啓介らはあやめを連れて、近くの公園へと移動します。

あやめは大川が新聞社の編集長だと知ると、

「河村君に迷惑をかけるのだけは絶対にイヤなんです」と直談判。

「お父さんたちは家族だろ。なんで協力してくれないんだ?」

啓介は横からあやめを責めます。

「まあまあ、並みの子なら自分の方から撮られたがる。今どきこんな純粋な女子高生がいるとはね~」

あやめは自分のことをジロジロ見る大川を警戒しています。

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そこへ、あやめの帰りが遅いと心配して探しに来た恭之助がやってきます。

「あやめ!」

恭之助がその中に割って入ります。

大川はさらにジロジロ。

「これは、これは、河村恭之助さんじゃないですか。

今だったら堂々といい写真が取れたのになあ~。残念~」

「あんた誰?あやめに何の用だよ?」

「新聞社の人・・・」とあやめ。

大川は嬉々として、あやめに提案します。

「そうだ!写真よりもっとカネになることを思いついた!

ヌード写真集を出そうよ!

それで儲かれば、うちの会社もお父さんに出資できる。

みんなハッピーだ!!」

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「ああ~それはいい!」

あやめは大川の話に啓介が乗り気になったのを見て、ショックを受けます。

それは恭之助も同様だったようで、

「ふざけんな!!あんた、それでも父親か?」と反発します。

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「あやめと暮らすのにまとまった金がいるんだよ」

「知るか!あやめ、傷つけたら意味ねえだろ!」

「ろくに苦労したことないお坊ちゃんに、えらそうなことを言われたくない。

これは私達、家族の問題だ!あやめ、やってくれるよな?」

あやめが答えられずにいると、

「相手にすんな。いくぞ!」

恭之助があやめの腕を取って、連れていこうとすると、その前に立ちはだかる大川。

「あんまり調子にのるなよ。ボンボン。

おまえなんて俺がその気になれば、ペン一本で潰せるんだぞ。

あんたらが後生大事にまもってる伝統なんて、傷つけることくらい簡単なんだ」

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今まではと打って変わってどすの利いた低い声で恭之助を脅す大川。

恭之助はその変貌に驚いて、動けなくなってしまいます。

あやめも恭之助や歌舞伎界まで傷つけるぞという言葉に絶句してしまいます。

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あやめに、大川は、

「ゴシップとヌード、どっちがいいかよく考えて」

と耳元でささやくと名刺を渡して去っていきます。

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恭之助は公園であったことを話して、世左衛門に相談しています。

「・・・あんな禄でもねえ、父親のもとにあやめは絶対に返さない。

ずっとここにいさせるよ」

「それは彼女の人生をおまえが引き受けるということか?」

「え?」

恭之助はそこまでは考えていなかったようで、しばしためらったのち、

「・・・ああ!そうだよ!結婚するよ!」と勢い余って宣言。

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世左衛門は、恭之助を叱りつけます。

「どれだけの覚悟で、そんな甘いことを言ってるんだ?

なんの後ろ盾もないあの子がこの家に嫁入りしたら、どれほどの苦労が待ってると思う?

しかも、おまえみたいな青二才が、女にうつつをぬかしてると噂されてみろ!

責められるのは、あの子だぞ!」

「稽古するよ。うまくなってやるよ。

俺が誰からも文句を言われねえような役者になりゃあ、いいんだろ?」

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「そこまで言うなら、命を懸けてでも、歌舞伎に打ち込む覚悟をしろ。

今までのような半端な覚悟で、目の前の壁を乗り超えることなどできるはずがない!」

世左衛門の言葉に恭之助は黙り込んでしまいます。

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そのふたりの会話をあやめは廊下で聞いています。。。

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その夜、眠れずにあやめがリビングに行くと・・・。

世左衛門がシズに自分が病気であることを打ち明けています。

「早急に手術をしなければ、命にかかわると言われました。

自分がまさかガンになるとは・・・」

あやめの姿をみつけた世左衛門は、恭之助には黙っていてほしいと頼みます。

「今、あいつに話したら、きっと舞台どころじゃなくなる」

「はい・・・」

「今度の舞台だけは何があろうと成功させなければ。私の目が届くうちに・・・」

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あやめは世左衛門が自分の寿命が尽きる前に、恭之助を役者として一人前にしておきたいと、切実に願っていることを知り、いたたまれなくなります。

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「こんな大変な時に、私なんかがご迷惑をおかけして、ほんとにすみませんでした」

命にかかわることが起こっていて、これ以上、自分と父親のことで煩わせている場合ではないと、あやめはそのまま外に出て、大川に電話します。

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「ええ?写真集を引き受けてくれる?

じゃあ、早い方がいい、3日後に撮影しよう!」

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「3日間・・・」

あやめは震える手で公衆電話の受話器を置きます。

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一方、世左衛門は世左衛門で、あやめが何かに巻き込まれていることを察し、大川のことを調べてほしいと完二郎に依頼しています。

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翌日から平穏な日常が戻ってきます。

恭之助も、家のまわりをうろついている男もいなくなったし、大川のもただの脅しだったんだなとホッとした様子。

「あやめ、あの父ちゃんといても、きっとつらいだけだぞ。

全部忘れて、うちにずっといろよ」

自分がいることは恭之助にも大変な覚悟をさせることになるのに・・・。

あやめは精いっぱいの感謝の気持ちを伝えようとします。

「ありがとうね。そんなこと言ってもらえて、すっごくうれしい。

なんかもう、夢みたいに幸せだよ」

思いっきり照れる恭之助です。。。

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あやめはそんな恭之助を見て、河村家で過ごせる3日間を大事にしようと決意します。

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ここからも楽しいんです~。

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あやめはシズから生け花を教えてもらいます。

恭之助が帰宅すると、「河村君、見て!」とうれしそうに生け花を見せるあやめ。

そう言われただけで、「かわいい~」と叫ぶ恭之助です。

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食後にこっそりと薬を飲もうとしている世左衛門に「薬にはぬるま湯がいいですよ」と湯呑を差し出すあやめ。

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たのしげに一緒に登校するふたり。

恭之助は、あやめがそばにいてくれることがうれしくて、笑いっぱなしです。

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あやめは帰宅すると、稽古場の拭き掃除に取り掛かります。

あこがれの木嶋屋の稽古場を丁寧に拭いていくあやめ。

ひと拭き、ひと拭きが心がこもっています。

稽古にやってきた恭之助と世左衛門の邪魔にならないように、拭き掃除を終わらせて、「がんばってください」と声をかけています。

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そして、夜には手料理。

テーブルには白がゆ、煮魚、煮物など消化の良さそうなものが並んでいます。

「これ、全部あやめが作ったの?」

驚きつつ、恭之助は一口食べて、「うまい!」と感激。

「けど、なんか体に良さそうなもんばっかだな~」

「あやめさんらしい、優しい味ですね」とシズ。

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世左衛門は白がゆを口に運んで、その優しい味にハッとします。

「ほら!親父もなんか言えよ!」と恭之助に急かされて、

「・・・うまいです」と照れて言う世左衛門です。

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後片付けのあと、世左衛門はあらためて、あやめにお礼を言います。

「ありがとう。私のために。体にやさしいものを」

「あのぅ、お体、大事になさってください。

歌舞伎界の大切なお方ですから。

私、ずっと、ずっと、応援し続けます」

あやめの親しみのこもった笑顔に、世左衛門はしみじみと頷いてみせます。

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泣きますわ。こんなの。世左衛門の気持ちを思って、うるうる。

大人だって優しい言葉をかけてもらいたいもんですもの。

なのに息子はあんなだし。(笑)

恭之助は顔を合わせれば身構えて、むすっとした顔しか見せないし。

娘がいたらもう少し労わってもらえたでしょうに。

こんな優しい言葉をかけられたら、ドロドロに溶けてしまいそう。

しかも、恭之助のためにとか、木嶋屋のためにじゃなくて、歌舞伎界のために。

まさにそれほどの人なんですよ。世左衛門は。歌舞伎界の大御所です。

世左衛門みたいな立場の人は相当、気を張って生きてるから、うれしいと思います。

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あやめは稽古場で稽古をしてる恭之助のことをこっそり見ています。

その姿をいつまでも見ていたい、そんな様子で。

でも、恭之助が気付きそうになると、すっと姿を隠してしまいます。

廊下にそっとたたずむあやめの目に涙があふれます。

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「夢は…、もう終わり」

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翌日、河村家からあやめの姿が消えてしまいます。

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朝はやく、シズに起こされて、そのことを聞かされる恭之助。

リビングには世左衛門や、ヤスの姿もあり、みんなであやめの残した置手紙に目を通します。

「みなさまにいろいろと御迷惑をおかけしました。

ほんとうに申し訳ありませんでした。

木嶋屋さんで暮らした思い出は私の一生の宝物です。

これからも大好きな歌舞伎を心の支えにしていきます。

どうかお元気で。あやめ」

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「お父さんのところへ行ったんですかね・・・」

残念そうなシズ。

恭之助は、慌てて寝ていたままの恰好で、あやめを探しに飛び出していきます。

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「なんでだよ。なんで俺になんにもいわずに・・・」

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世左衛門も何か思いを巡らしている様子。。。

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あやめは、大川と啓介のもとに行きます。

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あちこち探し回っても、あやめの行方はつかめず、恭之助はとうとう一弥に電話します。

「おまえさ、あやめと最近話したか?」

「いえ。あやめちゃんがどうかしたんですか?」

「あやめがいなくなった」

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今日は、一弥の結納の日でした。

ベトナムから帰国した両親を迎えに行こうとしていた矢先の恭之助の電話。

一弥は両親の出迎えをすっぽかして、恭之助のもとに駆けつけます。

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「あやめちゃんはお父さんの所に?」

「わからねえ。

俺、あいつの父ちゃんの家もしらねえし・・・」

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一弥は驚いて恭之助に食ってかかります。

「何やってるんですか?恭之助さん!

僕はあなただから、あやめちゃんを託そうと思ったのに!」

「・・・あいつ、最近すごい明るかったんだ。

だから、まさか出ていくなんて・・・」

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ましてや、あんな父親を選ぶなんて。

あやめを思うと、恭之助は落胆して途方に暮れたような表情に・・・。

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「あやめちゃんはきっと、あなたのために出て行ったんです。

自分がいると、河村家に迷惑がかかるから。

恭之助さんを守るために、父親のところへ行ったんだ。

そんなあやめちゃんをあなたは放っておくんですか?」

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恭之助は大川の脅しを思い出します。

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「けど、下手に動くと、大川ってやつも何をするかわかんないし。

俺のことだけじゃなくて、伝統に傷つけるとか、なんとか・・・」

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一弥は煮え切らない恭之助の態度に怒り、胸ぐらをつかんで怒鳴りつけます。

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「あなたにとって、あやめちゃんはその程度のものなんですか?

何があっても、どんなことをしても、自分の手でその人を守る。

それが人生を引き受けるってことじゃないのか!

あなたにはその覚悟もないのか!!」

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その一弥の言葉が世左衛門の言葉と重なって、恭之助の心に突き刺さります。

『今までの半端な覚悟で目の前の壁を乗り越えることなどできるはずがない!』

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一弥は恭之助にきっぱり言い放ちます。

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「そんな人にあやめちゃんを任せられない!

すべてを捨てても、僕が彼女を守る!!!」

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恭之助は自分と一緒に暮らすことが『夢みたいに幸せだよ』と言ったあやめの言葉を思い出します。

そんな風に言ってくれたのに、なんで俺は忘れてるんだ?

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「覚悟ぐらいあるっていうんだよ!!!

てめえなんかにあやめを渡すかよ!!!」

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恭之助も本気のエンジンがかかったようで、一弥は次の行動に移ります。

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「とにかく、あやめちゃんを探すことが先決です!」

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どうも、突然いろんな覚悟を迫られて、恭之助は受け止めるのに必死って感じです。

自分よりあんな父親を選ぶのかっていう失望でくじけそうだし。

一弥の方は元々結納に二の足を踏んでいたというか、そんなところにあやめの行方がわからなくなって心配で、終わらせたと思っていた本音が出たって感じですね。

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啓介の居所がわからない恭之助は、東西スポーツ新聞の大川に聞きに行こうと決心します。

けれど、編集部に大川はおらず・・・。

編集員から写真集の撮影現場に行ってると聞かされ、恭之助と一弥は血相を変えて現場に向かいます。

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その現場では、あやめがバスローブを身に着け、今まさに撮影が始まろうとしていました。

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そこへ、恭之助と一弥が乗り込んでいきます。

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「あやめ!!!」

恭之助はあやめを連れ出そうとしますが、あやめはためらいます。

「けどっ!!」

「けどもクソもねえ!

なんでひとりで全部背負いこむんだよ!

おまえはひとりじゃねえんだ!

もう誰にも、おまえを傷つけるようなことは絶対にさせねえ!」

「河村君・・・」

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恭之助はあやめを連れ出そうとしますが、勢いよくぶつかってきた啓介に引き離されてしまいます。

「ふざけるな。おまえなんかに邪魔されてたまるかっ!」

「ふざけてんのはどっちだ!それでも父親か!」

撮影スタッフも恭之助にとびかかり、一弥はそれを引きはがそうとし、乱闘になります。

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「そのくらいにしませんか!!!」

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その場にいた全員が動きをとめ、声の主の方を見ます。

スタジオに響いた声は世左衛門のものでした。

そばには完二郎の姿も。

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「親父・・・」

恭之助だけでなく、一弥やあやめも世左衛門がここに来たことに心底驚きます。

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その世左衛門に大川は陰湿に絡んでいきます。

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「お会いできて光栄です。河村世左衛門さん。

あなたの息子さんのせいでこの有様です。

あのこれ、記事にさせてもらいます。

名門木嶋屋の御曹司。恋人の仕事場に乗り込んで大暴れ。

みんな飛びつくな~」

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それを聞いた恭之助は即座に反論。

「勝手にしろ!

そんなことでつぶれるほど生半可な気持ちで役者やってんじゃねえんだよ!!」

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「威勢だけはいいが、後で泣きつくなよ~」

さらに脅す大川に、完二郎が言います。

「それはこっちのセリフですよ。大川さん。

俺のいきつけのキャバクラを梯子してあんたの噂、聞いてみたけど。

あんた評判悪いね。

グラビアで使ってやると言ってホテル連れ込むだの。

写真集、出してやるっていってギャラは払わないとか。

出てくる。出てくる。

被害者の証言は録音してあるぜ」

大川は急にバツが悪くなって黙り込んでしまいます。

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「あんた次第だ。

こちらは、あんたのような人間と関わりたくもないんでね」

世左衛門の言葉に、大川はさっさとスタッフを撤収させ、帰って行きます。

.

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儲け話が消えてなくなった啓介は、床に倒れ込むと、あやめに泣き言を言いはじめます。

.

「もう何もかも終わりだ。あやめ、俺は信じてたのに~」

あやめは悲しそうな顔をして啓介に言います。

「私だって信じてたよ。

がんばって待ってれば、いつか迎えに来てくれる。

また家族で一緒に暮らせる日がくるって」

.

「そうさ。そのためだよ。

また一緒に暮らす日のために家族が助け合うのは当然だろ!」

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そばで聞いていた恭之助は家族だからと、娘を利用してきた啓介に怒りを爆発させます。

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「家族、家族ってうるせえんだよ!!

あんたみたいなの、家族なんて認めねえ!

俺が、俺があやめの家族になってやるよ!!」

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家族になって、あんたから守ってやる!!

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啓介は鼻で笑いとばします。

「ガキがっ!無責任なこといってんじゃないよ!」

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その言葉に今度は世左衛門が怒りを爆発!

「子供を守ろうともしないあなたに、そんなことをいう資格がありますか?

あやめさんは責任を持って、うちが預かります。

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せがれの・・・、大切な人ですから」

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「親父・・・」

恭之助は世左衛門が自分の気持ちを理解を示してくれたことに感激します。

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「あやめ~、お母さんが死んで、お父さんひとりぼっちだ。

あやめまでお父さんを見捨てたりしないよな?」

あやめはすがるような目でみつめてくる父親に泣きながら別れを告げます。

「・・・私、今のお父さんとは、一緒にいられない」

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「・・・そうかわかった。好きにすればいい」

「お父さん、だけど、待ってるから。

いつかまた会いにきてくれるのを待ってるから!」

あやめの言葉に振り返りもせず、啓介はフラフラと出て行ってしまいます。

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涙が止まらなくなったあやめに世左衛門は、やさしく声をかけます。

「あやめさん。うちに帰りましょう」

「・・・はい」

あやめは泣きながら微笑んで、頷きます。

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恭之助は世左衛門があやめを家族として、あらためて家に招いてくれたことにお礼を言います。

「親父、ありがとう」

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世左衛門は珍しく笑顔を見せます。

「おまえの覚悟は、見せてもらったからな」

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けれど・・・、みんなが帰ろうとしたその時、

世左衛門は突然、苦しみだし血を吐いて倒れてしまいます。

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一方、世左衛門が倒れる少し前、一弥はそっと姿を消しています。

結納の時間から大幅に過ぎている。

咲五郎の怒りや優奈の嘆きが身に迫ってくるよう・・・。

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「結納をすっぽかしてしまった。

これで、終わりだ・・・」

一弥の想像どおり、結納の場では、優奈は待ちくたびれ、咲五郎は怒りに震えています。

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9話はここまで。

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世左衛門から覚悟があるのか?と投げかけられて、きっちりそれを見せた恭之助。

世左衛門がいちいち息子の言葉に感動してるのがよく伝わってきました。

最後はあやめのことも認めてしまったし…というか気に入ってるし。(笑)

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これだけ見ているとうまくいきそうなのに~。

予告を見てると、どうもそうはいかないみたい。。。

世左衛門の病気と、一弥の破門で事情がガラリと変わるみたい。。。

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ああ、病気はほんとにいい方向に向かってほしいなあ。

あやめもシズも看病にがんばると思うし。

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それと、やっぱり一弥はとうとう本音が出ちゃったのかなと。

どんなに頭で割り切っていても、あやめの危機になると話は別で。

いままで心配してもらうことばかりで、あやめがどうにかなるなんてことはなかったですもんね。

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「すべてを捨てでも守る」って恭之助には言えない言葉を吐いてました。

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御曹司は生まれた時から、歌舞伎の世界に組み込まれて育ってきているから、守らねばならないものがたくさんあることを肌で知っているんでしょう。

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それが一弥と恭之助の違いですね。

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一弥、どうなるんでしょうね。。。。

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あやめのことが今も好きという気持ちの以前に、18歳で好きでもない女の子と歌舞伎のために結婚っていうのが気持ちがついていかなかったんじゃないかな~。

そんながんじがらめにならずとも、もっと伸び伸びと歌舞伎に打ち込ませてあげたい気分になります。

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一弥が、これで歌舞伎を完全にやめたら、5、6話の葛藤がなんだったんだ?ってことになるので、多分、いえ、当然やめないでしょう。

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これだけは言える!

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恭之助とあやめはどうなるのかな~。

どうなったとしても、あやめは河村家にいてほしい。

世左衛門がああ言う風に言い切ったんだし。

9話がなんだったんだ?ってことになりますしね。

河村家のシーンがほんとに楽しいから、もっと見たい。

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恭之助の成長も見たいし。

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それと、あやめの告白。

追いかけられてばかりだった恭之助にちゃんと自分の想いを伝えないと。

どうなるにせよ。

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そして、最終回の後は、続編かスペシャルがあってほしいと願っています。

ぜひ!

ぜひ!!!

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●● ぴんとこな ●●

※ドラマ通信の中にあるぴんとこなの過去ログ

ぴんとこな第2話

ぴんとこな第3話

ぴんとこな第4話

ぴんとこな第6話

番外編1 ぴんとこな第7話

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◆前後してますが、見逃していた回を見ましたので、遅れてレビューしてます。

ぴんとこな第5話

ぴんとこな第1話&玉森くん

ぴんとこな第8話 感想速報

ぴんとこな第8話

ぴんとこな第9話感想速報

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