それでも、生きてゆく・第9話
響子(大竹しのぶ)と文哉(風間俊介)の乱闘騒ぎを聞きつけて、耕平の妻、由佳(村川絵梨)が駆けつけます。
響子は警察を呼ぶように指示した後、倒れている文哉を引っ張りおこします。
「どうして亜季を殺したの?」
「たまたま道で会ったから。別に誰でも・・・」
文哉はそういうと、「逃げないで~!」と泣き叫ぶ響子を振り切って姿を消します。
.
『・・・どこか遠くで、二人だけで・・・』
洋貴(瑛太)の告白ともとれる言葉を聞いた双葉(満島ひかり)は、気持ちを立て直します。
「はい・・・はい。・・・死にたいなんて言ってごめんなさい」
双葉は平静を装い話を変えます。
「どこですかね・・・。兄と会ったときにほんとのお母さんの生まれた場所のことを話していて、私も一緒に行かないかって言ったんです・・・」
洋貴の携帯が鳴ります。
「ふかみ」からで、文哉がやってきたことを告げるものでした。
慌てて車を発進させる洋貴・・・。
双葉は車の半開きのグローブボックスにナイフをみつけます。
双葉の視線の先に気づいた洋貴はさえぎるように勢いよくグローッボックスを閉めます。
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響子の無事を確かめ、安心した洋貴は双葉を三崎家まで送ります。
「・・・兄と会ったら何を話すんですか?」
「話せんのかな?
・・・あ、あれ、あるじゃないですか?あの、人体模型・・・。
昔、亜季が死んだ後、あれをみながらよく思ったんです。
心はどこにあるんだろうって。
あの模型には心がないじゃないですか?
俺って、これと同じなのかなって思ってました。
文哉もそうかもしれない。心がないのかもしれない。
だったら話なんかできないですよね・・・」
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文哉は指名手配となり、駿輔(時任三郎)は息子を逮捕してほしいと警察に頼みます。
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「ふかみ」を出た文哉は三崎家へとやってきます。
玄関に立つ文哉を見て、腰を抜かす隆美(風吹ジュン)。
「・・・文哉・・・、どうしてここがわかったの?」
「迷惑ですか?」
「ううん、上がって」
灯里(福田麻由子)がそこへやってきて、隆美は文哉を紹介します。
声を出せず、固まっている灯里・・・。
「鍵しめてもらえませんか?警察はえらそうだから、捕まりたくないし」
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>どうして文哉は三崎家を知ってたんでしょうね。
祖母の老人ホームも知っていたし・・・。
もしかして、文哉の方は双葉たちの行方を追っていたのかもしれないですね。
.
洋貴の車が三崎家の前で止まります。
「もし文哉から連絡が来たら・・・」
「警察より先に連絡します」双葉はしっかりした口調で約束します。
洋貴も車を降りますが、隆美が家から出てきたのを見て、再び車に乗り込んで帰っていきます。
その洋貴を三崎家の2階の窓から、じっとみつめている文哉・・・。
.
双葉が家に入ると、文哉は2階から降りてきます。
文哉をみた途端、双葉の顔色が変わります。
「110番したの?」
「お父さんが帰ってくるまで待とう…」
隆美はかすれた声でそう答えます。
灯里は姉と母の後ろで怯えてうつむいたまま・・・。
「僕はどこで寝ればいいの?狭い家だよな?狭くないか?
父さん、ちゃんと働いてるのか?」
文哉の横柄な口ぶりに双葉はカッとなります。
「クリーニングの配達してる!汗かいてがんばってるよ!」
「晩御飯なに?」
隆美は灯里に何かを買いに行かせようとしますが、文哉は反対します。
「外、出たらその子、裏切るかもしれないし」
「何、言ってるの?」
双葉は兄に食ってかかります。
「この15年間、みんながどういう思いで・・・!」
「お兄ちゃんのこと恨んでたんだろ?」
「恨んでなんかいないよ!だから家族みんなつらかったんじゃない!
なんであんなことしたの?私のせいなの?
だったら私を殺せばいいじゃない!!
もう取り返しがつかないんだよ。わかってんの?
お兄ちゃんのやったことは、お金とか物とか奪ったんじゃないんだよ!
命だよ!命を奪ったらもう償えないんだよ!!」
双葉に責められた文哉はそばにあった鋏を振り回し・・・。
「死んだ人はいいよ。死んだ人はそこで終わりだけど、
殺した方は生きてかなきゃあいけないんだよ。
お兄ちゃん、かわいそうなんだよ!!」
双葉は文哉の言い草に怒りを通り越して呆然となります。
.
家に駿輔が帰ってきます。
瞬時に部屋の中の空気を察した駿輔は、静かに文哉に語りかけます。
「文哉。おかえり」
「…ただいま・・・」
駿輔が話しかけると、コロッとおとなしくなる文哉。
駿輔は文哉の手に握られたままの鋏を抜き取ります。
.
>ここを見て、文哉ってほんとにお父さんっ子なんだなと思いました。
.
「・・・父さん。何十年でもお前が帰ってくるのを待つから。
だから、お父さんと一緒に警察行こう」
「また僕を見捨てるんですか?
東京で会ったよね。
父さん、見て見ぬふりして。捨てたんだよね。邪魔だったから」
「・・・すまなかった」
「そうやって母さんのことも見殺しにしたんだ」
駿輔は話が突然、文哉と双葉の母親の話になって驚きます。
「どういうことだ?
お前のお母さんはベランダで洗濯物を取ろうとして・・・」
「俺と双葉の目の前で母さんは飛び降りたんだ」
文哉は双葉のそばに移動して話を続けます。
「双葉も一緒に見たんだよ。
双葉は赤ちゃんだったからおぼえてないかもしれないけど。
母さんがこっちをみながら夜の闇の中に落ちていくのを・・・」
「何を言ってるんだ?警察が現場検証もした。目撃した人もいた」
駿輔は説明しますが、聞こうともしない文哉。
「あなたに絶望して、僕たちに疲れて母さんは死んでいったんだ。
双葉、お兄ちゃんと一緒に行こう」
双葉は断固として首を横に振ります。
.
>実母のことで何かあるんでしょうね。
母親は自殺?
駿輔はそのことを知らないのか、文哉がそう思いこんでいるだけなのか・・・。
.
双葉は兄の目を盗んで、洋貴にメールを送っていました。
洋貴はそれを見て、あわてて引き返してきます。
三崎家の前で車をとめて、歩き出したところで、文哉と鉢合わせする洋貴。
駿輔が家から出てきて、洋貴の注意が逸れた瞬間、文哉は脱兎のごとく駆け出します。
そんな文哉を洋貴と駿輔は追いかけます。
駿輔はすぐに失速、洋貴は文哉を追いつめます。
やがて、二人は取っ組み会いのケンカに。
洋貴は壁に打ち付けられ、気を失ってしまいます。
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>三人三様の走り方で。それぞれのキャラが出てましたね。
文哉の疾走は怖いくらいでした。
.
三崎家で、双葉に氷水で頭を冷やしてもらう洋貴。
「ほかに痛いところないですか?」
「はい・・・あ、眉毛の横のところがかゆいです」
「この辺ですか?」
双葉は真剣な表情で人差し指で洋貴の眉あたりを掻いてあげます。
「強弱的には?」
「・・・強で」
おかしな会話が、ふわふわとした空気を作り出し、二人とも表情が緩みます。
「何が食べたいですか?
私、作ります。なんでも作れるので。大抵のものは。何が食べたいですか?」
「・・・冷凍みかん、作れないですか?」
「作れます!
実力の100億分の1くらいで作れます。
冷蔵庫にいれるだけなんで」
ムッとした双葉はちょっと非難めいた口ぶりになります。
「冷凍ミカンは冷蔵庫では作れません。冷凍庫でないと」
洋貴はさっそく揚げ足を取ります。
キッとなる双葉。
「冷凍ミカンは料理じゃないです。ほぼ素材です!
おかゆとか作りますね!」
双葉がキッチンに立つと、洋貴はその背中に向かって今夜のことを話し始めます。
「・・・逃げられました。もう少しだったのに。
(グローブボックスの)あのナイフを持っていかなかったんです。
なんでか置いてってしまって・・・」
「良かったです。あっ、いや。兄のことじゃなくて、深見さんに人を殺してほしくないから。
深見さんにはそういうのが似合わないです。
ナイフより冷凍みかんが似合ってる」
今度は洋貴がムッとします。。。
「放っておけっていうんですか?
これから一生。またあんな思いしながら生きてけっていうんですか?
責任能力がないってことで、また裁判されないまま出てくるんだ。
亜季のことも、あの家に人たちのことも忘れて、また平気な顔して・・・。
そして、また同じことを・・・誰かに。・・・無理です。
次は忘れないようにします」
.
>これはもう・・・イチャイチャしてるとしか・・・。(笑)
どこでも、どんな状況でも、恋してる二人にとっては関係なくなっちゃうんですね~。
最後の方は文哉のことで、洋貴は言いすぎですね。
双葉は苦しんでいるのに・・・。
.
五月が久しぶりに「ふかみ」にやってきます。
「犯人が三日月湖の少年Aだとわかったら、あの家族は日本中から石を投げられると思います」
「・・・家族が事件を起こしたわけじゃない」
「遠山(双葉)さん、どうしてるんでしょうね。
怒るのが下手な被害者家族と、謝るのが下手な加害者家族。
・・・不思議な二人。・・・支えあってますよね?」
五月は洋貴を見ますが、洋貴は無表情を貫いています。。。
「・・・もしあの人のことを大事に思ってるなら、復讐なんて考えは捨てた方がいいと思います。
あの人のことを追い詰めるだけだと思います・・・」
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文哉の起こした事件がニュースで放送され始めます。
週刊誌などにみつけられる前に三崎家は再び引っ越しすることに。
駿輔は今後は3人と別行動し、文哉と向き合う覚悟をしたようです。
「お前たちはお前たちの人生を生きてくれ」
4人は泣きながら最後の食事をとります。
隆美と灯里をトラックに乗せて、駿輔は引っ越し先まで送っていきます。
.
双葉は洋貴たちに挨拶をしにいくと言い、3人を先に行かせます。
ほんとに向かったのは真岐の病院でした。
双葉はニュース映像で見た真岐の娘に会いに行きます。
草間(小野武彦)は快く会わせてくれます。
双葉は娘が大事にしているぬいぐるみのほころびを直してあげます。
その後、草間に深々と頭を下げる双葉。
「頭、下げんでいい。今は謝ってもらう気にならん。
あいつを殺してやりたい。でも俺まで刑務所に入ったら…」
.
>草間は優しい人ですね。。。ほんとに。
.
双葉は病院からの帰り道、洋貴からの着信を無視し・・・。
静かに・・・ある決心をします。。。
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双葉はレンタカーを借り、「ふかみ」へ向かいます。
そして、洋貴の車の中にこっそり冷凍みかんを置いて立ち去ります。
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去っていく車に気づいた洋貴は、さっそく車の中の冷凍みかんをみつけます。
そのみかんには「がんばる」顔の絵文字が。
.
双葉は思い出を辿るように洋貴と初めて行ったファミレスに立ち寄り食事をします。
『深見さんへ ごめんなさい 好きでした 』
ナプキンにそう書き・・・。けれど、それでうっかり口元を拭いてしまい・・・。
双葉はため息をついてナプキンを丸めると灰皿に捨ててしまいます。。。
.
冷凍ミカンを食べた洋貴は双葉の携帯にメッセージを残します。
「あのう、この前言ってたことなんですけど・・・。
人体模型の話。
あれから思ったんですけど。
心って大好きだった人からもらうものだと思うんです。
亜季や父や母から心をもらいました。
人を好きになるとその人から心をもらえるんですよね。
それが心なんですよね。
遠山さん、あなたからももらいました。
だから、復讐より大事なものがあるんじゃないかって思って。
今からそっちに行きます」
洋貴は双葉の顔が見たくて、いてもたってもいられず、走り出します。
.
五月に忠告されたからなのか、双葉から優しい贈り物をもらったからなのか、多分その両方から・・・。
洋貴が復讐ではない道を探し始めた矢先・・・。
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洋貴は車に乗り込んだところで、グローブボックスに入れたままにしていたナイフが無くなっていることに気づきます。
「・・・え?」
冷凍みかんを置いた時に、彼女が持っていったんだ・・・。
洋貴は動転してしまいます。。。
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双葉は洋貴とは真逆の行動に出ようとしていました・・・。
.
因島行きガイドブックを助手席に置いて、双葉は車のエンジンをかけます。
「よっしゃ!いくぞ!!」
.
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先週に続き、今週のラストも洋貴の告白。
文哉が現れて、洋貴の気持ちが復讐にぐらつくことはあっても、、結局はそれよりも双葉を選びたいと言ってるんですよね。2度とも。
洋貴の立場からしても、すごいことですよね。
先週のは、双葉がごまかしてしまいました。
今週は気持ちが違う方向を向いていて・・・。
あのくしゃくしゃになったナプキン、洋貴が見るんでしょうね。多分。
恋の行方・・・もすごく気になります。。。
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文哉については、もう何を言うかとか想像もつかない。
まだまだ隠されていることもありそうですね。。。
双葉への執着も普通以上だと思います。
何かきっとあるんでしょうね。。。
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最終回まであと2回。
どういう結末を迎えるのか、気になって仕方ありません。。。
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コメント
ホントに名作ですね「それでも生きていく」は。
双葉と洋貴の会話はピントがずれているような、これまでのドラマのようには容易に想像できない会話で、深刻なのに笑わせてくれる秀逸な脚本だと思います。
演じている二人の「間」も素晴らしい!
告白の紙ナプキンは誰かがきっと見るんでしょうね。
そして大どんでん返しがあるような気もします。
最終回まで目が離せないし、一回見たあと部分的なシーンをもう一回見たくて録画してます(^^;
投稿: エミーユ | 2011年9月 4日 (日) 22時12分
急かしちゃったかな、と思いながらもレビューありがとうございます。
今回は、文哉は走るの速いし、台詞なしの乱闘だし。
被害者と加害者を会わせることはないのでしょうが、殴り合いになるのはマズイにしても、とわさんが前々回に書いたように気持ちが浄化される面やきちんと向き合える面があるようにも感じますね。
草間や洋貴は文哉を殺してやりたい気持ちはありますが、孫や双葉への思いで殺すことや復讐は実行をやめてます。この二人の殺すか殺さないかの境目を重ねて描かれてて。
逆にその殺してやりたい気持ちを双葉が引き受けてしまってますが、どう収まるのやら。
事件が起こると犯人を死刑にしろとか、加害者家族は死んで詫びろとか、世間ではよくよく言われていて、そうした世間の目というものもこのドラマでは描かれていますが、こうして加害者家族が加害者を殺すという状況は考えたことありませんでした。
死刑を望み、加害者家族にも責任を望む世間の声はこうした状況にはどういう声になるんだろうとかも考えてみたり。
それにしても、主義主張じゃなく、ドラマとして切り取りそれを見事に演じてくれますよねぇ。
眉毛のとこをかいてもらって、殴られて取り逃したのに甘えてる洋貴がかわいい。
あと2回ですね。
楽しみです。
レビューも楽しみです。前回の俊輔の財布の家族写真のところはとわさんのレビューで納得させてもらったりもしてるんで。。。
投稿: 閑人 | 2011年9月 5日 (月) 08時46分
こんばんわ~!
>双葉と洋貴の会話はピントがずれているような、これまでのドラマのようには容易に想像できない会話で、深刻なのに笑わせてくれる秀逸な脚本だと思います。
セリフが素晴らしいですよね。
二人のやりとりで絆が少しずつ深まっていくのを感じられますもの。
>演じている二人の「間」も素晴らしい!
ほんとに。表情もいいですよね。
>告白の紙ナプキンは誰かがきっと見るんでしょうね。
あれは見ますね。(笑)見ないとおかしいです。
>そして大どんでん返しがあるような気もします。
ありますかね。ああ、でも想像がつかない…。
いい作品を見られてほんとに幸せです。。。
>最終回まで目が離せないし、一回見たあと部分的なシーンをもう一回見たくて録画してます(^^;
一度目はびっくりの展開についていくだけで必死なんで、2度目で気づくことが多いったら。
響子と文哉の乱闘なんて、セリフをちゃんと聞いたのは2度目でしたから。(笑)
次回も楽しみです。。。
投稿: とわ→エミーユさん | 2011年9月 6日 (火) 20時18分
こんばんわ~!
>急かしちゃったかな、と思いながらもレビューありがとうございます。
いえいえ、たまたま時間があったんで…。
でも、読んでくださってると思うとうれしいです。
>気持ちが浄化される面やきちんと向き合える面があるようにも感じますね。
きっとそういう状況が用意されているんじゃないでしょうか。洋貴と双葉も向き合ったから理解しあうことができたので。
>この二人の殺すか殺さないかの境目を重ねて描かれてて。
そういえばそうですね。特に洋貴なんて試されてますね。。。
>逆にその殺してやりたい気持ちを双葉が引き受けてしまってますが、どう収まるのやら。

ほんと双葉が引き受けてますね。
心配です。因島に着くまでに洋貴に追いついてもらいたい…。
> 死刑を望み、加害者家族にも責任を望む世間の声はこうした状況にはどういう声になるんだろうとかも考えてみたり。
このドラマはとことん当事者を描いていますね。
それぞれの立場を垣間見せてもらって、私もいろんなことを考えさせれてます。
>眉毛のとこをかいてもらって、殴られて取り逃したのに甘えてる洋貴がかわいい。
やっぱり甘えてますよね。(笑)
車の中に冷凍みかんを見つけた時もうれしそうな顔してたし。こういうシーンってこちらも少し気持ちがなごんでいいです。。。
>前回の俊輔の財布の家族写真のところはとわさんのレビューで納得させてもらったりもしてるんで。。。
それが正しいのかどうかはわかりませんが、感じたことを書かせてもらってます。
あと2回、どういう結末を迎えるんでしょう。
納得の最終回になったらいいなあ~~。。。
投稿: とわ→閑人さん | 2011年9月 6日 (火) 20時36分