鹿が恋する季節、人も恋をする
毎日新聞関西版の毎週土曜、夕刊に「万葉のとびら~平城遷都1300年に向けて~」という記事が掲載されています。
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平城遷都1300年祭。
全国的に話題になったセント君がマスコットになっている奈良のイベントで、2010年に開催予定です。
それを前にして、雰囲気を盛り上げるために万葉集の歌を紹介していこうという企画なんですが・・・。
いいなと思ったので紹介します。
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今回(10月10日)のタイトルは、
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妻 恋 う 秋
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掲載されていた歌は、舒明天皇のものでした。
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夕(ゆふ)されば 小倉(をぐら)の山に 鳴く鹿は
今夜(こよひ)は鳴かず 寝(い)ねにけらしも
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(夕方になると小倉の山で鳴く鹿が、今夜は鳴かない。寝てしまったらしいなあ)
「いつも妻を求めて鳴いていたのに、
今夜はすぐに相手に巡り合えたのか、
それともあきらめてしまったのか。
共寝していたらいいのになあ。
そんなふうに秋の静かな夜に思いを巡らした歌」 ・・・だそうです。
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鹿は秋に恋をするらしいです。
恋する鹿は雌を求めて、ミュウーイーンと高く甘い鳴き声を上げるんですって。
奈良公園でも鹿のカップルがいくつもできているとか・・・。
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この静かに冷え込んでくる秋、温もりを求めて寄り添う季節。
今まさに恋の季節なんですね。
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こんな風に噛み砕いて歌を解説してもらうと、そこに織り込まれた「想い」があふれ出てきます。
思いのほか、ロマンチックな歌なんですね。
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そして、ふと「鹿男あをによし」の鹿を思い出してしまいました。
あのドラマを見て以来、どうも奈良の鹿に親近感を抱いていて。
そういえば、あの鹿も千年以上もの間、愛しい女性を思い出して高く甘い鳴き声を上げていましたね。
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万葉集には恋する鹿の歌が50首ほどあるらしいです。
ほとんどが平城遷都の後に作られたものだそうです。
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都の万葉の人々は、秋に雌を求めて鳴く雄鹿を見て、切ない自分の恋心を重ねたのかもしれないですね。
どの時代の人であっても、胸に抱く恋心は変わらないのだな~と気付かせてくれました。
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私は歌などは苦手で、少ない文字の中の凝縮された想いを愛でるセンスや余裕など、持ち合わせていないんですが、このコーナーだけは楽しませてもらっています。
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記事にはもっと詳しく紹介されています。
もしやと思って調べたらネットの毎日新聞関西版にも記事がUPされていました。
こちら→http://mainichi.jp/kansai/manyou/index.html
リストの中の「妻恋う秋」です。
他に「夜露のごとき恋」もおもしろいです。
恋の変化を春夏秋冬に見立てて紹介されています。「冬」の歌に思わず笑ってしまいました。こちらも素敵。写真も美しいです。
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