官僚たちの夏・第8話「総理の死」
昭和38年、東京オリンピック前年に風越(佐藤浩市)は特許庁へと左遷される。
一方、玉木(船越英一郎)はかわりに通産省次官へ。
国内産業を頑なに守ろうとする風越を疎んじた池内総理(北大路欣也)の方針だった。
それに伴い、国内産業派の鮎川(高橋克実)や庭野(堺雅人)は遠ざけられ、国際通商派の片山(高橋克典)たちが主要ポストを占めることに。
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玉木は一層、国際化を目指して自由貿易を推進していく。
そんな折、国産初の旅客機が、アメリカ連邦航空局の飛行審査で不合格になってしまう。
搭載している国産コンピューターでは能力に限界があるというのだ。
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戦後復興の象徴として東京オリンピックで国産旅客機を飛ばすのが池内総理の悲願。
その意向を受けた玉木は早急に飛行審査の合格を得るため、コンピューター産業も自由化し、旅客機にもアメリカ製のコンピューターを導入しようと考える。
それは通産省で保護育成されてきた国産コンピューターメーカーを不安がらせることに。
特許庁長官である風越も玉木の考えを聞きつけ、放っておけず奔走することに。
だが玉木や池内を訪ねてみても、担当ではない風越は相手にされない・・・。
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風越は庭野と共に、国産コンピューターの未来を守るために共同開発をメーカーに提案する。
二人を信頼した各メーカーは総力を結集、高性能コンピューターの誕生を目指すことにする。
そして、ようやく国産コンピューターのメドがたつ。
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それを知らなかった玉木は不満をあらわにする。
行政は情に流されてはいけないという信条の玉木。
弱みを見せたら切り捨てられそうでメーカー側は玉木に頼ろうとはしなかったのだ。
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かつて風越らとアメリカコンピューターの輸入制限を推進した政治家、須藤は玉木に言う。
「君は業界の心情をないがしろにしている。
一度は現場に足を運ぶことはしてもいいんじゃないか?
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熱意や思いなしに何ができる?
君が取り組む航空機産業にしても原点は熱意だ。
日本の飛行機をもう一度飛ばしたいという思いが、困難な技術開発を途方もない努力の積み重ねで乗り越えてきた。
自動車もそうだ。
誰もが無理だという中、風越くんや企業ががむしゃらにがんばった。
戦後日本をここまで復興させたのは、そういう熱意や思いじゃないのか?
そういうことを否定して、一体どういう国ができる?
君がどういう国を作りたいのか、私は心配でならないよ」
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さらに、今度は池内が玉木に意外なことを言う。
「現状の効率だけを追求して日本に何が残る?
アメリカ製のコンピューターを導入した方が手っ取り早いというなら、飛行機だってアメリカ製を導入した方が手っ取り早いということになる。
すべてそういう考えでやっていたら、
家電も自動車も外国製にすればそれですむということになる。
そんなことをしていたら、
国内産業は何ひとつ育たないことにつながり、国は滅びるぞ。
俺は国際競争で日本産業の力を伸ばすことには賛同してきたが、自由化で何から何まで外国の技術に依存しようなどという情けない発想に賛成したつもりはない。
日本の飛行機は、日本のコンピューターで作ってほしい。
どっちもアメリカに負けない産業に育てて欲しい。
玉木、これが私の最後の頼みだ。」
それは、死期を悟った池内の「遺言」でもあった。
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昭和39年。東京オリンピックが開催される。
オリンピックの聖火は、国産コンピューターを搭載した国産旅客機によって運ばれたのだった。
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その姿を見届けた後、池内は須藤へ総理の座を譲る。
そして、翌年、静かな眠りにつく・・・。
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「世界の目を気にしているうちに大事な何かをなくしてしまった。
この国はお前に任せるよ。」
玉木はそう言い、自ら次官を退く。
風越は再び通産省次官へ返り咲く。
(敬称略)
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良かった~。
力がこもった回で、感動しました。
そんな昔の話ではなく、今の日本に直結する話にドキドキしますね。
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情熱と気骨のある人はまことにカッコいい!
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今回登場した池内、須藤、風越ら官僚たち、みんなあふれる情熱と気骨がありました。
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戦後の復興にむけて突き進んでいく姿は、アプローチはそれぞれ違っても目指すところは同じ。
必死に奮闘する姿に胸が熱くなりました。
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8月に選挙が終わり、民主党が政権をとることになりました。
ニュースやワイドショウなどで政治の話題を見聞きするたび、この「官僚たちの夏」を思い浮かべてます。
池内のような政治家や風越や玉木、庭野のような官僚たちがいるのかしら、なんてつい思ってしまっています。
このドラマでいい勉強をさせてもらいました。7話なんて特に。
ニュースがちょっと理解しやすくなりました。
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