相棒7・第15話「密愛」
右京(水谷豊)はひとりで森の中の邸宅を訪れる。
邸宅の主人、大学時代の恩師、宇佐美悦子(岸恵子)に呼ばれたのだ。
右京が唯一単位を落としたという手強い才媛、元フランス文学の講師は、現在は翻訳家として成功していた。
二人は久しぶりの再会を喜び合う。
「あなたほど、面倒な学生はいなかったのよ。
だって試験のたびに私の採点に猛抗議。」
「先生の採点はあまりに厳格でした。」と右京。
「大体、相性がよくなかったのよ。
愛だの、恋だの、語っている文学なんてあなたには不向きでしょ?」
「たしかに男女の情愛ほど知性や理論が通用しない世界はありません。」
昔同様、たじたじになる右京だったが・・・。
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悦子はようやく今回の用件に入る。
彼女は道端で行き倒れていた天涯孤独の男(国広富之)を保護し、成り行きから離れに住まわせていたという。
彼は邸宅の雑用などもこなしてくれ、トラブルなどもなく平穏な日々を過ごしていたのだが、その後、急に服毒自殺してしまったという。
それで、男の遺骨を渡したいので免許証から身元を調べてほしいというのだった。
快く承諾して、邸宅をあとにした右京だったが・・・。
彼が2度目に邸宅を訪れた時には、男の死因について悦子に矢継ぎ早に質問を繰り返すことになる。
・・・。
(敬称略)
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この日の新聞を見ていたら、出演者はたった3人。
空白が目立つ「相棒」欄に「・・・・・・?」となったものなんですが。
ほんとに主要出演者は3人。
なのに、まったく飽きさせず、最後まで見ることができました。
大抵、2人芝居ですから、間延びしそうと思っていたんですが・・・。
まあ、愛の話ですからね。
男女がペアでいればそれでいい、あとは入る余地なしってもんです。
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愛しすぎて相手を殺してしまったり、自分が死んでしまったりという結末はフランス映画によくあるので、そんなテイストを取り入れたんだろうなあ~と思いました。
映像も緑が多く、美しかったです。
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悦子は、右京の謎解きを内心、うっとりと聞いていたんですね。
恋人が愛してくれたことを、外部の人間によって再認識したかった。
きっと、この罪を償うことも、甘い媚薬となるんでしょうね。
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来週も楽しみにしています。
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コメント
私は興奮しています,とわさん。
スタッフの皆が岸恵子さんのファンなのでしょうね。彼女に捧げられたロマンティック・ミステリーの傑作を,私も岸恵子ファンの一人として,堪能しました。
確かに異常なくらいに登場人物が少なくて,最初はどうなることかとこちらまでハラハラしましたが,これは古沢良太さんの素晴らしい実験でしたね。とことん簡素な構成にして,2人の間の心理のあやの方を精妙・緻密に描いてくれました。
時には師弟,時には競争相手,時には探偵と犯人,そしてついには2人が「相棒」となって,共同でミステリアスな愛の物語を紡ぎ出しました。
お定まりのどんでん返しは,いかさま師国富の純愛の証明。あれには,アッと驚きました。そして,最後の逆転は,岸恵子の最後の台詞。「わたしがどれだけ愛されたか,誰かに知ってもらいたかったの」ですって。婉然と笑った彼女の楽しそうな表情と,とびきり美しい姿にすっかり魅了されました。さすがは,永遠のマドンナ。76歳になっても,「恋する女」を見事に演じる女優と言う存在は,信じ難い「奇跡」です。
良い話でしたね。ドラマが終わってからも,泣けてしかたがありませんでした。
文学の香り高い往年のヨーロッパ映画を観ているようで,陶酔しました。
英国風理性の人右京さんをからかいながら,彼女はフランス風のラテン的「情熱の女」を演じています。文化の衝突まで描いてくれて,私はただただ嬉しい。
ここで,一つ質問があります。キャテリーヌは,はたしてトミー(アメリカ文化を象徴している国富)の純愛を最初から知っていたか。貴女はどう思いますか。
私は,こう思っています。彼女は負けず嫌いだから,知っていたかのような口ぶりでしたが,実は知らなかった。或いは,半信半疑だった。右京さんにトミーの純愛を証明してもらって,大変に嬉しかった。そして,一人になった時にトミーに「ごめんね」と泣いて謝っています。
しかし,右京さんには「絶対に百点はやらない」彼女は,反撃に出ます。
でも,最後に自首するために出かけるシーンで,右京さんにエスコートしてもらう彼女は,実に満足げな表情です。内心では「満点」を上げているのだと思います。
摂田寛二:チャングム評論家,ゴンゾウ評論家
投稿: 摂田寛二 | 2009年2月20日 (金) 06時14分
こんばんは~摂田さん!
いつも深い解釈をありがとうございます。
>スタッフの皆が岸恵子さんのファンなのでしょうね。
そうですね。岸恵子さんのために用意された本という感じでした。
>お定まりのどんでん返しは,いかさま師国富の純愛の証明。あれには,アッと驚きました。
タイトルが「密愛」でしたが、まさにそのとおりの展開でした。私もビックリしました。
>さすがは,永遠のマドンナ。76歳になっても,「恋する女」を見事に演じる女優と言う存在は,信じ難い「奇跡」です。
岸恵子さんはほんとに素敵でした。ゆったり優雅な雰囲気を全身にまとっている方ですね。
この方と八千草薫さんはあこがてしまう方です。
>私は,こう思っています。彼女は負けず嫌いだから,知っていたかのような口ぶりでしたが,実は知らなかった。或いは,半信半疑だった。右京さんにトミーの純愛を証明してもらって,大変に嬉しかった。そして,一人になった時にトミーに「ごめんね」と泣いて謝っています。
私は半信半疑ではあるけれど、知っていたと思いました。ただ、自分の知らない他の理由もあるのかもしれないという思いもあり、右京さんに調べさせたんでしょう。右京さんに確かに純愛だったのだと証明してもらいたかったんだろうと思いました。
投稿: とわ@きなこ庵 | 2009年2月21日 (土) 22時18分